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便秘解消に効果的な酸化マグネシウムに潜む副作用

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便秘薬として一般的によく使用されているのが酸化マグネシウムです。酸化マグネシウムは比較的副作用が少ない薬として知られています。また、妊婦や子供にも安全と言われているため、妊娠中の便秘や子供の便秘を解消するために医師によって酸化マグネシウムが処方されることも少なくないでしょう。

しかし、副作用が少なく便秘解消効果が高いとされてきた酸化マグネシウムも、注意して服用しないと危険な症状を招きかねないということが、だんだんに明らかになってきています。

酸化マグネシウムが便秘解消に使用されてくる中で、酸化マグネシウムによる副作用をとみられる症例が見られるようになってきて、酸化マグネシウムとの因果関係を否定できない症例が増えてきたためです。酸化マグネシウムがどのようにして便秘解消に効果的なのか、また酸化マグネシウムの副作用がどのようなものであるのかを知って、正しく服用できるようにしましょう。

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1.酸化マグネシウムは便秘解消に効果抜群

酸化マグネシウムは便秘解消効果が高いと言われています。それではまず、酸化マグネシウムによる便秘解消のメカニズムについて説明します。酸化マグネシウムには水分を吸収する作用があります。そのため、酸化マグネシウムを服用することで、腸内の水分が腸壁を通して体内へ吸収されるのを防ぎ、腸の中に水分が保たれるようになります。

腸内に水分が保たれると、便が柔らかくなり、排出しやすい便の状態になります。便秘は排出されずに腸内に溜まった便の水分が腸壁に吸い取られることによってますます悪化するので、酸化マグネシウムは便の水分が抜けてどんどん便が固くなってしまうことを避けるために効果的であるということです。

また、酸化マグネシウムによって便が水分を含むようになると、便が膨張してかさ増しされます。便がかさ増しされると、腸は便が溜まったと認識しやすくなり便を排出するための蠕動運動(ぜんどううんどう)が引き起こされやすくなります。

腸内の蠕動運動が弱まっていることが原因となって便秘を引き起こしている場合は、このようにして腸に蠕動運動が引き起こされるように信号を送ることが便秘を解消する上でのポイントなってきます。

2.酸化マグネシウムの副作用、高マグネシウム血症

酸化マグネシウムが便秘解消薬としてよく使用されている理由は、副作用が少ないと言われてきたためですが、最近では高マグネシウム血症の副作用があることが明らかになり、医師には処方時に注意するよう促されており、患者も服用時に高マグネシウム血症とみられる症状が出た場合にはすぐに医師に診てもらうように注意して服用するようになってきています。

高マグネシウム血症の初期症状としては、立ちくらみ、めまい、口渇、吐き気、嘔吐、皮膚が赤くなる、脈が遅くなる、倦怠感、力が入りにくくなる、傾眠などの症状があります。もしも酸化マグネシウムを服用している期間に、これらの症状が出た場合には、酸化マグネシウムの服用を続ける前に医師に相談するようにしましょう。

3.酸化マグネシウム服用時の注意点

酸化マグネシウムを服用することで、高マグネシウム血症が特に心配されるのは、心臓が悪い人や腎臓が悪い人の場合です。心臓病や腎臓病の患者に酸化マグネシウムが処方される際には当然医師が注意して処方してくれるはずではありますが、それらの病気を持つ方は特に定期的にマグネシウム値を測定し、正常であるかどうかを確認する必要があります。

また、酸化マグネシウムの作用は、水分を逃がさないようにすることですが、その作用は酸化マグネシウムが水分を吸収することによって起こります。よって、酸化マグネシウムを服用するときは、十分な水分補給をする必要があります。しかし、心臓や腎臓の機能が正常な場合でも注意しなければならないのは、酸化マグネシウムの服用時に牛乳を飲み過ぎないようにするということです。

水分補給のために水の代わりに牛乳を飲み過ぎてしまうと、カルシウム量が増え、高カルシウム血症を引き起こす原因となってしまいます。それは、酸化マグネシウムを服用することによって体の中がアルカリ性に傾くためです。

高カルシウム血症になると、「ミルク・アルカリ症候群」という高マグネシウム血症を引き起こす可能性が高まります。「ミルク・アルカリ症候群」を避けるためには、酸化マグネシウムの服用時に牛乳を1リットル以上飲むことは避けましょう。また、カルシウムのサプリメントを服用することなども避けましょう。

酸化マグネシウムを服用する際は、必要最低限の量にとどめるようにも言われています。便秘が長引く場合には薬に頼りがちになってしまいますが、長期的な服用は特に避けるように気を付ける必要があります。

4.酸化マグネシウムの死亡例も・・・

厚生労働省医薬・生活衛生局から発行された、医薬品・医療機器など安全性情報No.328(平成27年12月発行)によると、平成24年4月から平成27年6月までの約3年間に、酸化マグネシウムの服用が原因であることが否定できない高マグネシウム血症の症例が19例報告されています。また、19例のうちの多くは重篤な症状に至り、1例は処置が間に合わず死亡したと報告されています。

また、酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症の副作用が出ている人の7割以上は65歳以上の高齢者であると言われています。

高齢者の場合、腎機能が正常であっても重篤な転機をたどる例なども認められているため、高齢者が酸化マグネシウムを服用する際には十分な注意が必要となるようです。高マグネシウム血症は、本人が気づくことができればよいのですが、ただでさえいつもの便秘の症状として見逃しやすい症状でもあるため、特に高齢者の場合は周囲の人の注意も必要であると言えます。

自宅や施設で便秘によって酸化マグネシウムの処方を受けている高齢者の方を介護している場合などは、排便時や日常生活の中で、高マグネシウム血症と思われる症状が出ていないか周りの方が気を配れる環境が大切です。

まとめ

いかがでしょうか?いくら安全だと言われていても、注意して服用しないと、危険な状態を引き起こしかねないのが酸化マグネシウムです。最後に、酸化マグネシウムについて簡単におさらいしてみましょう。

≪酸化マグネシウムの便秘解消効果≫
・水分を吸収し逃がさないようにする作用により、腸内に水分がある状態を維持し便を柔らかくする
・便に水分を含ませることで便をかさ増しし、腸内で蠕動運動が起こりやすくする

≪酸化マグネシウムの副作用≫
・高マグネシウム血症
・高カルシウム血症による高マグネシウム血症(ミルク・アルカリ症候群)

≪酸化マグネシウム服用時の注意点≫
長期にわたっての服用を避け、服用する際は最低限の量に抑える。
・高マグネシウム血症と思われる症状が見られたら、すぐに薬の服用をやめて医師に相談する。
心臓や腎臓が弱い人、高齢者は注意して服用する。周りの人の気配りも大切。

便秘に悩まされ、さまざまな方法を試しても効かない頑固な便秘に、酸化マグネシウムは大変効果的であると言われていますが、薬に頼ればその分体は自力で便を排出する機能が弱まっていきます。

とは言え、便秘薬に頼らずに快便生活を送れるようになることがベストですが、薬に頼らずに自力で便秘を解消することはなかなか簡単なことではないでしょう。ですから便秘薬に頼らざるを得ない時には、その分慎重になって服用するように心がけましょう。






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