妊娠後期に嘔吐!?便秘と頻尿も。これって大丈夫?
妊娠には体の変化も多く悩み事がつきものですが、妊娠後期に見られる主な症状として多いのが、嘔吐、便秘、頻尿です。このように、普段とは違った症状が出てくると原因は何なのか心配になりますよね。便秘や頻尿などは、お腹の赤ちゃんの成長とともに大きくなった子宮によって内臓が圧迫されているのかと想像もできますが、嘔吐などが起きると、何か異常があるのではないかと心配になるでしょう。
一番安心なのは、病院で診てもらって自身の体の状況をしっかりと把握することですが、少しでも安心して出産を控えた妊娠後期を過ごすことが出来るように、ここでは妊娠後期に起こりやすい嘔吐、便秘、頻尿などの症状がなぜ起こるのか、その原因についてのお話をしたいと思います。
1.妊娠後期の嘔吐の症状と原因
妊娠初期のつわりとは異なる、妊娠後期の嘔吐の原因
妊娠後期の子宮の膨張で圧迫された胃腸の機能低下
妊娠中期から妊娠後期にかけての妊娠高血圧症候群
妊娠後期の胎児への血流循環増加による貧血
感染症による嘔吐の可能性も
2.妊娠後期の便秘の症状と原因
プロゲステロンホルモンの増加
妊娠後期によくある直腸性便秘
妊娠後期の生活環境の乱れや精神的ストレス
3.妊娠後期の頻尿の症状と原因
頻尿は妊娠後期に起こる自然現象
妊娠後期に大きくなった子宮による膀胱への圧迫
4.妊娠後期の嘔吐や便秘、頻尿を和らげる方法
栄養バランスの調整
適度な水分補給
体温調節で体を暖かく
1.妊娠後期の嘔吐の症状と原因
妊娠中の嘔吐はつわりだけじゃない
妊娠中の嘔吐は、妊娠初期のころであればつわりが考えられますが、妊娠後期の嘔吐の場合は原因がまた異なる場合があるので要注意です。
胃腸の機能の低下
妊娠後期の嘔吐の原因として考えられるひとつは、子宮による圧迫によって胃腸の機能が低下するためです。
妊娠高血圧症候群
妊娠後期の嘔吐の原因としてもう一つ考えられるのは妊娠高血圧症候群というものです。妊娠中に妊娠高血圧症候群と診断され、高血圧の状態が続いてしまうと、胎児へ十分な血液が送られなくなる可能性が高いため、早めの対処が必要とされます。
子宮や胎盤へも血行不良を生じるため、無処置の場合、赤ちゃんへの酸素や栄養素の供給が長期間にわたって障害されるため危険です。妊娠後期に見られる高血圧は、妊娠中期から継続している場合が多く、嘔吐の改善を目的にした妊婦さんの高血圧対策は、生まれてくる赤ちゃんの健康へもつながります。
貧血
子宮による圧迫や高血圧以外にも、妊娠後期に吐き気や嘔吐の症状を引き起こす場合があります。それは、妊娠後期になると成長した胎児への血流循環が増加するため、貧血気味になることが原因となって吐き気や嘔吐を引き起こす場合です。もともと貧血傾向のある女性は妊娠後期に嘔吐を生じやすいとも言えます。
感染症
また、感染症も嘔吐の原因となります。妊娠期間中は免疫力が低下しており、ヘルペスウイルスやノロウイルスなどの感染による胃腸炎にも注意が必要です。感染症による嘔吐の場合は下痢を併発していることが多いです。そのような感染症が流行りやすい時期に、妊娠後期に入る妊婦さんは出来るだけ人混みの多い場所への外出は避けたほうが良いでしょう。
● 子宮の圧迫によって胃腸の機能が低下
● 妊娠高血圧症候群
● 貧血
● 免疫力の低下により感染症にかかりやすい
2.妊娠後期の便秘の症状と原因
プロゲステロンホルモンの増加
妊娠後期に起こる便秘の原因には、プロゲステロンの増加と身体活動レベルの低下があります。プロゲステロンは腸管や子宮の収縮を抑える作用を有するホルモンです。プロゲステロンの増加は結果として腸管の運動性の低下を招きます。腸管の運動性が低下すると、腸管内の宿便が肛門方向へ移動する時間が遅くなります。すると、宿便内の水分が過剰に吸収された硬い宿便が蓄積して排便を困難にさせます。
妊娠後期によくある直腸性便秘
また、妊娠後期の便秘は直腸性便秘であることが多いです。直腸性便秘は、機能性便秘と呼ばれるもののひとつです。直腸は通常、肛門の手前である直腸に便が来ることで便意を催します。しかし、便意が来ても排便を行われない状態が続くと、直腸は便が溜まっている状態になれてしまい排便を促す直腸反射が低下します。すると、やがては直腸に便が溜まっても便意が起こらなくなり、直腸性便秘になるのです。
直腸性便秘になると、腸管の圧迫は便が腸に留まっている時間を長くさせるため、過剰に水分が吸収され便は固くなり、直腸には排便の困難になった固い便が溜まるようになります。
妊娠後期に直腸性便秘が起こる原因は、体重増加によって活動意識が低下し、自体重の負荷による痛みが足腰に生じることで排泄回数が減少するということも言えます。しかし便意を我慢すると便秘は進行し、さらには大きくなった子宮に腸管が圧迫されることで腸管の機能が低下し、ますます排便しにくい状態となります。妊娠後期のこのような便秘は、温めることと水分を補給することでその機能を回復し便秘を緩和させることができます。
妊娠後期の生活環境の乱れや精神的ストレス
直腸性便秘は体の変化以外にも、不規則な生活や環境の変化にともなうストレスも要因となります。精神的なストレスを受けやすい妊娠中、特に妊娠後期は特に安定した生活環境が必要です。
● プロゲステロンの増加による腸管の運動性低下
● 妊娠後期に多い直腸性便秘
● 不規則な生活や環境変化によるストレス
3.妊娠後期の頻尿の症状と原因
頻尿は妊娠後期に起こる自然現象
頻尿とは一般的に、排尿が1日に8回以上の状態を表します。頻尿は妊娠後期に現れる自然現象です。妊娠後期に入り大きくなった子宮が膀胱を圧迫することです。膀胱への圧迫が排尿間隔を短くします。妊娠後期にはトイレに頻繁に行きたくなるのはこのためです。妊娠後期は、ただでさえお腹も重くなり動くのもしんどい時期ですから、特に腰痛や体に支障を伴っている場合などは、トイレのために何度も動かなければいけないことが苦にもなるでしょう。
尿中には尿路から洗い流された大腸菌などの尿路感染症起因菌が含まれています。便秘に加えて、不意の排泄トラブルによってデリケートゾーンの衛生維持が困難な状態が継続すると、膀胱炎のような尿路感染症を引き起こしてしまいます。頻尿は妊娠期間中に現れる自然現象で出産後に自然治癒しますが、妊娠中は妊婦さんと胎児ともに、病原微生物に対する生体防御システムが不十分なために感染症にも注意が必要です。
● 大きくなった子宮が膀胱を圧迫
● 妊娠後期の頻尿は自然現象
4.妊娠後期の嘔吐や便秘、頻尿を和らげる方法
栄養バランスの調整
妊娠後期は身体活動レベルが低下しており、また運動量も減少していることからも、少しの食べ過ぎが体重の増加につながりやすい状態です。どうしても食べたいときは胃腸に負担がかからないものを選択します。特に血圧を上げる塩分や刺激のあるもの、消化に時間のかかる脂肪性食品の摂取は控えましょう。
強い吐き気に対しては、酸化マグネシウムを服用することがあります。酸化マグネシウムは胃粘膜細胞の保護作用があり、嘔吐を引き起こす胃部不快感に効果を発揮する古典的な薬です。
適度な水分補給
同時に便秘の緩和に対しても効果があるため、多めの水で服用するのがポイントです。妊娠期間中の便秘を和らげる一つの対策に、こまめな水分補給があります。体を冷やさないためにもあたたかいものを準備しておきましょう。おすすめは白湯です。
白湯とは水を沸かしただけで何もいれていない湯のことです。1日に必要な量は800mlが目安です。基本的には水道水でも大丈夫ですが、ミネラルウォーターの場合は硬水が良いです。白湯の甘味が感じられない、さらに腸の中につまるように感じる人は便秘を抱えている可能性がありますが、続けていくうちに改善されます。
体温調節で体を暖かく
体が冷えると頻尿を助長します。冬場やクーラーが効いているところでは腹巻を活用することも有効です。また普段よりも移動が困難なため、立ち上がりやすい椅子をトイレの近くに置いておくなど、簡潔な動線を確保したインテリアを構成しておくも必要です。
● 酸化マグネシウムの摂取
● 白湯で水分補給
● 体温調節で温かく
5.まとめ
妊娠後期の症状としてよく見られる便秘、嘔吐、頻尿についてのお話をしました。妊娠後期のマタニティートラブルは大きくなった子宮が内臓を圧迫することに起因します。便秘と嘔吐の緩和には温めることと水分補給が効果的で、白湯が消化器の運動を促進する魔法のドリンクとして、インドでは古くから用いられていたようです。
こまめな水分は頻尿を誘発する可能性もあり、尿漏れが尿に含まれる細菌感染症のリスクとなります。尿は尿路に侵入した細菌を洗い流すという役割があり、尿漏れパッドやおむつの中で増殖した大腸菌が、膀胱炎のような尿路感染症の原因となります。
クランベリーには尿を酸性化する作用があり、尿中で大腸菌など膀胱炎の原因となる細菌の増殖を抑制します。クランベリーは生、冷凍、粉末のものが購入可能でジュースとしてだけではなく、肉料理やスイーツにも使え、ライフスタイルに併せたて常備が可能な食品です。
大人用おむつや尿漏れパッドは細菌が増殖しないように常に清潔な状態を維持することが大切。また、寝る前や外出時など、近い未来に排尿することが困難であることが予測される時は、白湯ではなくホットクランベリージュースが良いでしょう。